エトーのゴール、そしてロナウジーニョの魔法と共に
バルサに最高のプレーが戻ってきた。
アスレチック・ビルバオ戦に3対0と圧勝したバルサは、
上位の他チームが相次いで引き分けたことにより、
2位以下との差を広げることに成功した。
バルサが王者の実力を発揮し、
ビルバオ戦を3対0で快勝した。
今シーズン、アウェイで最も素晴らしい成績を残している
チームの一つであるビルバオ相手に
90分間常に主導権を握り続けたバルサは、
前半に3ゴールを決め快勝した。
エトーが復帰し、プジョールとテュラムの
センターバックコンビが強固なディフェンスを披露した。
イニエスタは完璧な試合をし、
ジュリは果敢に右サイドを駆け抜けた。
そして、ロナウジーニョの魔法が戻ってきた
バルサを止めることは不可能だった。
今晩のバルサの意図は明確だった。
それは、両サイドを有効に使った攻撃と、
スピードを活かした攻撃だ。
右ウィングのジュリが果敢に右サイドを駆け抜け
バルサの攻撃にスピードを与える一方、
エトーが縦横無尽に動いた後に出来たスペースに
他の選手が飛び込み、ビルバオゴールに襲い掛かった。
しかし、ビルバオも防戦一方というわけではなく、
チャンスとみれば攻撃を試みることも忘れていなかった。
その証拠に、13分にはカウンターアタックから
イェステが得意の左足で強烈なシュートを放ち
バルサを脅かしたが、バルデスがしっかり止め事無きを得た。
また、ビルバオの統率の取れたディフェンス陣を崩すことは
難しく、バルサは試合開始の数分間に
決定的なチャンスを作ることが出来なかった。
特筆すべきは、プジョールとテュラムによる
強靭なセンターバックコンビだ。
ポジション取りからインターセプトまで
あらゆる点において2人はハイパフォーマンスを披露し、
ビルバオの攻撃の基点であるウルサイスを完璧に押さえていた。
ボールを支配するものの、
バルサはビルバオゴールになかなかたどり着くことが
出来なかった。
バルサが最初にシュートを放ったのは19分で、
左サイドをオーバーラップしたジオが放ったシュートは
惜しくもゴール左に外れた。
そして、このジオのシュートをきっかけに
バルサは攻撃のリズムを掴み、チャンスが訪れ始める。
22分にはDFカサスをスピードで振り切ったジュリが
上げたセンターリングを、
エトーをマークしていたDFアモレビエタが
クリアーミスをしてオウンゴール。
バルサは思わぬ形から先制ゴールを手にし、
落ち着いて試合を進めることが出来るようになった。
先制ゴールの1分後には、
シャビがゴール正面から強烈なミドルシュートを放ったが、
GKアランスビアがファインセーブでバルサの追加点を阻止した。
しかし、29分にエトーの絶妙なパスを受けた
シャビのアクロバティックなボレーシュートを
GKアランスビアは止めることが出来ず、
バルサは追加点を決め2対0とした。
時間が経過するごとに、エトーは自信を取り戻し、
自らも積極的にゴールを狙うようになっていった。
そして40分、バルサファンが待ち望んだ瞬間が訪れる。
オフサイドを破りディフェンスラインの裏に走りこんだ
エトーにロナウジーニョから絶妙なパスが通る。
GKアランスビアと1対1となったエトーは決して焦ることなく、
冷静に左足でゴール左にバルサの3点目となるゴールを決めた。
カンプノウに詰めかけたバルサファンは、
待ってましたとばかりにエトーのゴールを盛大に祝った。
3対0という厳しい状況に立たされたとはいえ、
ビルバオのマネ監督は決して諦めず、
後半にミッドフィルダーのムリーヨに代え
フォワードのアドゥリッツを投入した。
しかし、この交代によって中盤にスペースが生まれ、
バルサが更に自由にプレーできる展開となった。
特に、イニエスタはスペースのある中盤で
前半以上に自由自在にボールを操り
バルサの攻撃をリードして行った。
イニエスタは中盤だけでなくゴール前にも姿を現し、
決定的チャンスを2度連続掴んだが、
最初のシュートはポストに、
2本目のシュートはゴール上に惜しくも外れた。
バルサは完璧に試合を支配し、
プジョールとテュラムを中心としたディフェンスラインも
ビルバオに全く隙を与えなかった。
59分、カンプノウに詰めかけたバルサファンは
芸術的なプレーを目の当たりにすることになる。
左サイドのロナウジーニョは3人のディフェンスを抜き去った後、
GKアランスビアが出てきたところを角度のないところから
ループシュートを狙う。
シュートはゴールへ吸い込まれて行くと思われたが、
GKアランスビアが僅かに触った為、
シュートはクロスバーに当たり惜しくもゴール上に外れた。
ロナウジーニョの芸術的なプレーに
チームメイトのエトーも信じられないようで、
エトーは両手で頭を抱えながら微笑んでいた。
このロナウジーニョのスーパープレーの数分後、
ライカールト監督はエトーに代えメッシを投入したが、
この瞬間カンプノウのバルサファンは
エトーに大して盛大な拍手を送り、
エトーも両手を挙げファンの温かい拍手に応えた。
残り時間も少なくなり、試合もほぼ決定付いている状態の中で
ファンを魅了し続けたのはロナウジーニョのプレーだった。
ロナウジーニョはファンの期待を裏切らず、
ボールに触れる度にヒールキックやフェイントで
ファンの目を釘付けにした。
試合終了間際にライカールト監督は、
長いリハビリを乗り越えやっと復帰したシルビーニョを
エジミウソンに代え投入した。
シルビーニョの投入によりジオは中盤にポジションを上げ、
少ない時間ながらも中盤での攻撃の組み立てに加わり、
複数のポジションをこなすことの出来る
高い戦術理解能力を持ち合わせていることを証明していた。
試合終了間際にはロナウジーニョやメッシが
個人技を思う存分に発揮しファンを魅了していた。
バルサが完全に調子を取り戻したことは間違いない。
リーガ第25節はバルサの首位の座を
がっちりと固めた節となった。
ライバルのセビージャ、レアル・マドリード、バレンシアが
相次いで引き分けに終わる中、
バルサはホームのカンプノウにアスレチック・ビルバオを迎え
3−0と圧勝、差を広げることに成功した。
しかもただの勝ち点3では無い。
エトーが久々にゴールを決め、
誰もが見たいロナウジーニョが戻ってきた。
この日のバルサのパフォーマンスは高いレベルで発揮され、
ファンを大いに沸かせると共に、
チームが自信を取り戻す最高の夜となったのだ。
バルサの強さは今シーズン、カンプノウで大いに発揮されている。
ファンの声援に支えられ、フランク・ライカールト監督率いる
チームはリーガのチームの中でもホームで
最高の成績を収めている。
実際カンプノウで獲得した勝ち点は49ポイント中、
実に32ポイントにも上るのだ。
それもそのはず。
バルサはリーガにおいては2006年2月5日以来、
実に1年以上負けていないのである。
最後にカンプノウで敗れたのはアトレティコ・マドリード戦だ。
このホームでの強さこそが今シーズンのバルサの根幹を成し、
現在首位の座にいることを可能にしているのである。
一方、今シーズンはアウェイの成績がいま一つ。
次節は敵地に乗り込んでの直接対決セビージャ戦を
迎えることになる。
この試合に勝利し、現在続いているアウェイでの
5試合連続未勝利の不本意な成績に終止符を打ちたいところだ。
しかしながらその前に、サラゴサのホーム、
ロマレダに乗り込んでのコパ・デル・レイ(国王杯)の
準々決勝2ndレグを戦うことになる。
およそ5ヶ月ぶりにエトーが久々のゴールを決めた。
最後にエトーがゴールを決めたのは9月16日の
ラシン・サンタンデール戦まで遡ることになる。
再びゴールの喜びを味わったエトーのそれは、
チームの勝利を決定的なものとする3点目のゴールだった。
そしてそれはエトーとしては珍しく左足でのゴールだった。
ビルバオ戦後、記者会見場に姿を現したライカールト監督は、
終始饒舌でこの日チームが見せたパフォーマンスに対する
満足感を露にした。
「今夜カンプノウを訪れたファンはこの試合を
大いに喜んだはずだ。
素晴らしいプレーを見せたチームを祝福したい。」
とコメントした。
一方、「今日バルサは素晴らしい試合をした。
しかしこの試合とチャンピオンズリーグを比べることは出来ない。
でも、引き続き努力を続ければ、
今日のような試合をもっと見せることが出来る。
今日我々は自分達のやりたいパフォーマンスを示すことが出来た。
しかし今日勝ったからと言って、
次の試合で汗をかかなくて良いということにはならない。
確かなことは、チームは自分達のプレーに集中し、
残されたタイトルの可能性全てに立ち向かっていこうとする姿勢を
示したということだ。」と語る。
この夜、久々にカンプノウに勇姿を見せたエトーは、
2点目のチャビのゴールをアシストし、
試合を決定付ける3点目を決めるなど大活躍を見せた。
チームメートに祝福され、
後半途中交代する際には観客から怒涛の喝采を浴びた。
そしてまた、ライカールト監督も公の場で
エトーのプレーに賞賛を送ることも忘れなかった。
「エトーの存在は我々に大いなるパワーをもたらしてくれる。
今日はエトーとそしてジュリが非常に良く機能していた。
エトーがいることによってディフェンスの注意が
そちらへ引き付けられるし、
上手く楔になってパスも出せていた。
非常に良かったと思う。
サミュエルは辛いリハビリを乗り越えて、
しっかりとトレーニングに励んできた。
その復活振りは大いに評価されるべきだ。
非常に大きな怪我から立ち直ったが、
試合後の回復も普通より時間が掛かると思う。
それだけに彼の事を良く注意していかなければならない。
彼も人間だからね。
フィジカルが非常に強い選手だが、
何試合もプレーしていないということを忘れてはいけない。」
この夜は賞賛の夜と言っても良いだろう。
ライカールト監督の賛辞は、
さらにリリアン・テュラムにも向けられた。
「テュラムはフィジカル的にすっかり良い状態だ。
怪我を克服して戻ってきた。
彼がいるだけでチームに安心感を与える。
ディフェンス面では我々にとって非常に難しい試合だったが、
彼が要所を締め、ディフェンスラインに安定感をもたらした。
彼は我々にとって重要な選手だ。」
ゴールこそなかったものの、
ロナウジーニョもライカールトにとっては賞賛の対象だった。
「もちろん、今日のロニーのプレー振りも嬉しい限りだ。
彼のコンディションは非常に良いと思う。
観客を喜ばせていたし、
彼のようなレベルの選手と一緒にいられることに
非常に満足している。」
ライカールトは「サラゴサとの2ndレグは
面白い試合になるだろう。
リバプール戦とは全く違ったものになるはずだ。
今バルサは成長し続けているチーム。
重要な選手も戻ってきたし、逆転での勝ち抜きという驚きを
もたらすことは十分に可能だ。」と語っている。
出場選手
GK 1 バルデス
DF 23 オレゲール
21 テュラム
5 プジョール
12 ジオ
MF 15 エジミウソン(81分 16 シルビーニョ)
6 シャビ
24 イニエスタ
FW 8 ジュリ(78分 22 サビオラ)
9 エトー(66分 19 メッシ)
10 ロナウジーニョ
SUB GK 28 ルベン
MF 3 モッタ
FW 7 グジョンセン
18 エスケーロ
得点 22分 オウンゴール
29分 シャビ
40分 エトー